朝餐後の始末

 朝餐後の始末を兎に角終つて、旦那樣のお出懸に知らぬ振をして出て來なかつたと奧樣に小言を言はれたお定は、午前十時頃、何を考へるでもなく呆然《ぼんやり》と、臺所の中央《まんなか》に立つてゐた。 と、他所行の衣服を着たお吉が勝手口から入つて來たので、お定は懷かしさに我を忘れて、『やあ』と聲を出した。お...

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『水道』が流場の隅にあつた

 お定は、怎※[#「麾」の「毛」に代えて「公の右上の欠けたもの」、第4水準2-94-57]物に水を汲むのだもの、俺には解る筈がないと考へた。 此家では、『水道』が流場の隅にあつた。 長火鉢の鐵瓶の水を代へたり、方々雜布を掛けさせられたりしてから、お定は小路を出て一町程行つた所の八百屋に使ひに遣ら...

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奧樣が起きて來る氣色がした

[#6字下げ]一〇[#「一〇」は中見出し]

 目が覺めると、障子が既に白んで、枕邊の洋燈は昨晩の儘に點いてはゐるけれど、光が鈍く※[#「虫+慈」、U+45F9、196-上-20]々《じゝ》と幽かな音を立ててゐる。寢過しはしないかと狼狽《うろた》へて、すぐ寢床から飛起きたが、誰も起きた樣子がない。で...

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