晩酌に陶然とした忠太

 其夜は、裏二階の六疊に忠太とお八重お定の三人枕を並べて寢せられたが、三人|限《きり》になると、お八重は直ぐ忠太の膝をつねりながら、『何しや來たす此人《このふと》ア。』と言つて、執念《しつこ》くも自分等の新運命を頓挫させた罪を詰《なぢ》るのであつたが、晩酌に陶然とした忠太は、間もなく高い鼾をかいて...

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二人が東京へ逃げたと知れた時

 源助の家へ歸ると、お八重はまだ歸つてゐなかつたが、腰までしか無い短い羽織を着た、布袋の樣に肥つた忠太爺が、長火鉢に源助と向合つてゐて、お定を見るや否や、突然《いきなり》、『七日八日見ねえでる間《うち》に、お定ツ子ア遙《ぐつ》と美《え》え女子《をなご》になつた喃《なあ》。』と四邊《あたり》構はず高...

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奧樣に濟まぬ樣な氣がする

『其處ン所は何ともお申譯がございませんのですが、何分手前共でも迎への人が來ようなどとは、些《ちつ》とも思懸けませんでしたので。』『それはまあ仕方がありませんさ。だが、郷里《くに》といつても隨分遠い所でせう?』『ええ、ええ、それはもう遙《ずつ》と遠方で、南部の鐵瓶を拵へる處よりも、まだ餘程田舍なさ...

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