特別な仕掛がある譯ではない

『これが水道ツて言ふんですよ。可《よ》ござんすか。それで恁うすると水が幾何《いくら》でも出て來ます。』とお吉は笑ひながら栓《せん》を捻《ひね》つた。途端《とたん》に、水がゴウと出る。『やあ。』とお八重は思はず驚きの聲を出したので、すぐに羞《はづ》かしくなつて、顏を火の樣にした。お定も口にこそ出さな...

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よく眠れたか

『槌持つてるもの、大黒樣だべアすか。』『此方ア?』『惠比須だす。』『すたら、これア何だす?』『布袋樣《ほていさま》す、腹ア出てるもの。あれ、忠太|老爺《おやぢ》に似たぜ。』と言ふや、二人は其忠太の恐ろしく肥つた腹を思出して、口に袂をあてた儘、暫しは子供の如く笑ひ續けてゐた。 階下《した》で...

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東京の家は地震でも搖れたら危い

『さあ、何方《どつら》だたべす。』『何方だたべな。』『困つたなア。』『困つたなす。』と、二人は暫時《しばらく》、呆然《ぼんやり》立つて目を見合せてゐたが、『表なやうだつけな。』とお八重。『表だつたべすか。』『そだつけ。』『そだたべすか。』 軈て二人は蒲團を疊んで、室の隅に積み重ねたが...

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