二人は、不器用な手つきで

 二人は、不器用な手つきで、食後の始末にも手傳ひ、二人|限《きり》で水汲にも行つたが、其時お八重はもう、一度經驗があるので上級生の樣な態度をして、『流石は東京だでヤなつす!』と言つた。 かくて此日一日は、殆んど裏二階の一室で暮らしたが、お吉は時々やつて來て、何呉となく女中奉公の心得を話してくれる...

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特別な仕掛がある譯ではない

『これが水道ツて言ふんですよ。可《よ》ござんすか。それで恁うすると水が幾何《いくら》でも出て來ます。』とお吉は笑ひながら栓《せん》を捻《ひね》つた。途端《とたん》に、水がゴウと出る。『やあ。』とお八重は思はず驚きの聲を出したので、すぐに羞《はづ》かしくなつて、顏を火の樣にした。お定も口にこそ出さな...

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よく眠れたか

『槌持つてるもの、大黒樣だべアすか。』『此方ア?』『惠比須だす。』『すたら、これア何だす?』『布袋樣《ほていさま》す、腹ア出てるもの。あれ、忠太|老爺《おやぢ》に似たぜ。』と言ふや、二人は其忠太の恐ろしく肥つた腹を思出して、口に袂をあてた儘、暫しは子供の如く笑ひ續けてゐた。 階下《した》で...

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