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二人が東京へ逃げたと知れた時

 源助の家へ歸ると、お八重はまだ歸つてゐなかつたが、腰までしか無い短い羽織を着た、布袋の樣に肥つた忠太爺が、長火鉢に源助と向合つてゐて、お定を見るや否や、突然《いきなり》、『七日八日見ねえでる間《うち》に、お定ツ子ア遙《ぐつ》と美《え》え女子《をなご》になつた喃《なあ》。』と四邊《あたり》構はず高...

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奧樣に濟まぬ樣な氣がする

『其處ン所は何ともお申譯がございませんのですが、何分手前共でも迎への人が來ようなどとは、些《ちつ》とも思懸けませんでしたので。』『それはまあ仕方がありませんさ。だが、郷里《くに》といつても隨分遠い所でせう?』『ええ、ええ、それはもう遙《ずつ》と遠方で、南部の鐵瓶を拵へる處よりも、まだ餘程田舍なさ...

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朝餐後の始末

 朝餐後の始末を兎に角終つて、旦那樣のお出懸に知らぬ振をして出て來なかつたと奧樣に小言を言はれたお定は、午前十時頃、何を考へるでもなく呆然《ぼんやり》と、臺所の中央《まんなか》に立つてゐた。 と、他所行の衣服を着たお吉が勝手口から入つて來たので、お定は懷かしさに我を忘れて、『やあ』と聲を出した。お...

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