第三の瓶の内容

 鉛筆が無くなりかけていますから、もうあまり長く書かれません。 私は、これだけの虐遇《なやみ》と迫害《くるしみ》に会いながら、なおも神様の禁責《いましめ》を恐れている私たちのまごころを、この瓶に封じこめて、海に投げ込もうと思っているのです。 明日《あした》にも悪魔の誘惑《いざない》に負けるような事がありませぬうちに…………。 せめて二人の肉体《からだ》だけでも清浄《きよらか》でおりますうちに……。

       *

 ああ神様…………私たち二人は、こんな苛責《くるしみ》に会いながら、病気一つせずに、日に増《ま》し丸々と肥って、康強《すこやか》に、美しく長《そだ》って行くのです、この島の清らかな風と、水と、豊穣《ゆたか》な食物《かて》と、美しい、楽しい、花と鳥とに護られて…………。 ああ。何という恐ろしい責め苦でしょう。この美しい、楽しい島はもうスッカリ地獄です。 神様、神様。あなたはなぜ私たち二人を、一思いに屠殺《ころ》して下さらないのですか…………。[#地から2字上げ]――太郎記す………

◇第三の瓶の内容[#「◇第三の瓶の内容」は中見出し]

 オ父サマ。オ母サマ。ボクタチ兄ダイハ、ナカヨク、タッシャニ、コノシマニ、クラシテイマス。ハヤク、タスケニ、キテクダサイ。[#地付き]市川 太郎[#地付き]イチカワ アヤコ

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